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2021.01.18

目標

アスリートに限らず、仕事や、教育、子育て、といった場面で、「目標設定」といった言葉はよく見かけます。
何事につけ、「こうなりたい」「こんなものを作りたい」「これができるようになりたい」等々…
こういうものを持つと、確かに頑張る「質」が違ってくるように感じますね。

テニスプレーヤーを志す者であれば、「目標はグランドスラム」は多いでしょう😅
「夢」とも混在しそうですが、私は「グランドスラム」は成果目標のひとつ、と考えました。

Nagiが、グランドスラムのステージを目指したのは、2007年のウィンブルドンを「マナーキッズ大使」として、訪れたのがきっかけです。
大会前の、センターコートの美しさは、12歳の心に、どんなにか響いたことでしょう。
私も、この時、生まれて初めて、憧れてやまなかったウィンブルドンを訪れました。
最も感銘を受けたものの一つが、ここに集う「観客」です。
テニスの大会を形成するのは、「選手」「運営」そして「観客」。
本の中で、知っていた言葉を、ここで初めて実感しました。
日本では、県や地域で開催される、選手権や、一般の方が集う楽しみの大会、
または、ジュニアや高校生の大会が大多数を占めます。
実業団や国体、といったところも、それまで、できるだけ足を運んではおりました。

しかし、ウィンブルドンでは、この3つ全てが、今まで感じたことのないレベルのものでした。
選手のプレーや、運営の在り方は、もちろんですが、全く違って感じたのは、観客の方々が心から楽しまれている様子と、選手よりも、そのプレーを観る方が多いのでは、と感じました。スター選手がプレーするセンターコートであっても、面白くないプレーでは、席を立たれる方の多いこと。
ノーシードの選手であっても、良いプレーには惜しみなく拍手👏そして笑顔で楽しまれています。


「世界の人々に認められるプレーヤーが目標」
Hanatani Nagiのプロフィールには、こう記しています。
これは、この時の観客の方々への感銘が大きかったのです。

とても印象に残った試合の一つが、M.Hingis🇨🇭 VS A.Nakamura🇯🇵 の2回戦でした。
中村藍子選手のプレーは1回戦で初めて拝見しました。すべてのポイントに対して、常に真摯なプレーをされ、派手さではなく、その人柄も感じさせる、素晴らしい選手だな、と感じました。

2回戦の相手は、マルチナ・ヒンギス…
スター選手でもあり、天才的なプレーは驚嘆させられるばかりです。
彼女の試合ということで、ショーコートは満員💦私と主人の隣は、ミドルエイジのイギリス女性の2人連れ。周りはほとんど、欧米の方々でした。

試合前のアップの時です。隣の女性たちが、にこやかに「日本の方ですか?Aiko-Nakamuraは素晴らしいプレーヤーね。彼女のプレーに乾杯しましょう」
と、バスケットから、ワインをグラスに次いで、渡してくださったのです。
もう、本当に驚きました。
まずは、中村選手が同じ日本人であることが誇らしく、そして、彼女の真摯なプレーがイギリスの女性にしっかり認められ、プレーを楽しんでくださっていることにです。
1stセット、中村選手は16で落としましたが、お二人は、「本当に良い選手だわ」とおっしゃってくださいました。
私は英語が不得手なので詳しくはわかりませんでしたが、どんな状況でも、真摯で一生懸命なプレーを、感じていただいたのだと思います。

正直、日本では報道も限られて、錦織選手や伊達選手、(今なら大坂選手もですね)といったところしか、知られないこともあるかと思います。
けれど、このように海外の方々の心に残る選手が、日本人にいるんだ、と初めて実感させていただきました。

中村選手のように、「世界の人々に認められるプレーヤーが目標」になった所以です。
これは、単に勝負に勝つ、だけでは届かない目標でもあります。
勝つだけでなく、プレーから、感じていただく何かが必要なのだ、と思っています。
世界のテニスファンに認めていただくには、何が必要か?
目標によって、努力の方向・質は変わってくると思うのです。

中村選手に限らず、こういった日本人選手は、きっといらっしゃるでしょうし、他国の選手にも、いらっしゃいます。
「グランドスラムのステージで勝つ」という成果目標と共に、「世界の人々に認められるプレーヤー」を目指して、日々、努力したいと思います。

困難な目標に向かえるのは、幸せなことです。
このような目標を感じさせてくださった、中村藍子選手と、あの時のイギリス女性達に感謝したいと思います。

   (Mayumi.H)

☆冒頭写真は2007公式パンフレットの表紙

毎日、結果も掲載して、新しいものが発刊されるのも,驚愕でした。
スポーツは文化、と感じる、一冊です。
中身を少しご紹介